愛した名前
桜井君が試合だからと去った後、
私は座りながら桜井君から貰ったチョコをじっと見つめた。
やっぱり、このチョコおいしいよね。
・・・さっきので、桜井君の印象が変わった。
普通にいい人なのかも。
テンション高いのはちょっと・・・って感じだけど。
まだ幼いあの笑顔、めちゃくちゃかわいかったかも。
「そんなにそのチョコ好きなの?」
隣からたくとの声。
「え?」
「そんな嬉しそうに見て」
嬉そうって・・・
私が疑問そうにたくとを見つめると、たくとがまた口を開く。
「口元、笑ってたよ」
たくとはニヤリと笑う。
「やっぱな~うん。俺も桜井いいと思うよ。応援するする。」
たくとは意味不明な言葉を発しながらコクコクと頷く。
「ちょっ!何考えてんの!?」
「何も~?」
そう言って立ち上がり
「んじゃ、だれかの応援いくかな~」
と言って、私の話を聞かずにスキップでどこかへ行ってしまった。
「・・・笑ってたかな・・・」
私は両手でほっぺを触る。
「って・・・私バカっ!」
違う違う違う。
私の好きな人は?
「・・・けいっ♪」
自分に自分で質問し自分で答える。
私・・・本当に、バカみたいじゃん・・・。