愛した名前


手術が終わり私は目を開ける。


両足が麻酔で動かない。


自分でその足を触ってみると、感覚がなく、自分の足ではないみたいだった・・・。


感じた事のない感覚に私は顔をしかめる。


「きっ、もぃ・・・」


私が起き上がろうとすると、


手術前に手にさした点滴が目に入る。


背中にも何があるような・・・。


やばい・・・


早く帰りたーいっ!!!



・・・手術終わればもう楽になれると思ってたのにっ!


足からも何か管みたいのささってるみたいだし・・・


これって、一日中ベッドで寝っぱなし?!


「嘘・・・こんなの、聞いてないよ・・・」


看護師さんが説明してくれている時、お母さんに任せきりで私は聞いてなかったのもあるけどさっ・・・。



そんなことを思っていると4人部屋の私の部屋の戸を誰かが叩く音が聞こえた。


「さきちゃん、夜ご飯だけど食べれる?」


看護師さんが私のご飯をトレーにのっけて持ってきてくれた。


「あ、はぁ・・・」


私がそう言って、頑張って起き上がろうとすると、


「あー、いいよいいよ~」


と言って、私が寝ているベッドの横からリモコンみたいなものを取り出してそのボタンを押した。


すると、ベッドが私の体を起こしてくれる。


「こんな便利なものがあったんだ・・・」


私は思わずつぶやいてしまった。



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