愛した名前
あの夢から何日かたって、私自身何がなんだか分からなくなっていた。
私はけいが好きなはずなのに、
何故か思い出す顔は桜井君で・・・。
バドミントンもできないせいか、
毎日、ため息ばかりついてしまって・・・。
今日も私は外を見つめて大きなため息をついた。
「はぁぁ・・・・」
「ため息なんてついちゃってどーしたのっ♪」
るんるんな声で言うその声は・・・
私はすぐにその人の方を向く。
「な、なんで・・・?」
そこには、にっこり笑う桜井君がいた。
「おみまいだよ!」
「てっ、てか、私がため息ついてるくらい悩んでるかもしれないってのに、なんでそんな笑顔なの?!」
私はそっぽを向いてしまった。
なんだか、素直になれない。
だって、嬉しいのに。
ありがとうって言わなきゃいけないのに・・・。
「・・・あれぇ?やっぱ来てほしくなかった?」
桜井君の声のトーンが少し下がる。
・・・嬉しいよ。
けど、やっぱ桜井君にありがとう言うのは・・・
でも、言った方が、いい・・・よね?
うん。
私はそっぽを向いたまま
「ありがと・・・」
と言った。
桜井君から声が聞こえない。
ちらっと桜井君を見てみる。
すると、桜井君と目があい、桜井君は今までにないような笑顔をしていた。
私、気づいちゃったかも。
もしかしたら私・・・
桜井君が
好き
なのかもしれない。