愛した名前

私はベッドで体を起こしたまま桜井君を見つめる。


「?さきちゃんも笑って!俺、さきちゃんの笑った顔好きだよ」



どきんっ・・・


やっぱり。


いつからなんだろう?


分からないけど・・・


この顔が存在が愛しい・・・。


「さきちゃん・・・笑って?」


私は言われた通り口を閉じたまま笑った。


「えっ、さきちゃんが・・・笑った!」


「はぃ~?!桜井君が笑ってって言ったんでしょ?!」


意味不明なことを言う桜井君にキレた口調になる私。


「そぉだね。そんな怒んないで!もう一回笑ってよ」


「なんでっ!」


「俺のために」


そう言ってにって笑う。


・・・桜井君が私に近付いたのは、私がバドミントン強かったからでしょ?


私にバドミントン教えてもらうためでしょ?


なら、私に期待、させないで・・・。


なんで私って、いつもこうかな?


好きな人に好きになってもらえない。


なら、好きにならなければいい。


そう思うのに、いつの間にか好きになっちゃうんだ・・・。


「さきちゃん・・・?」


黙りこむ私をのぞきこむ。


「あのさ、どうして、私に近付いたの?」


「えっ?」


「私がバドミントン上手いから?」


私は下を向いたまま小さな声で言った。


「・・・まぁ、うん・・・」


桜井君は少し考えて言った。


「・・・それだけなの?」


私は上目で桜井君を見つめる。


「それだけ・・・だよ。」


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