愛した名前
私はそのまま黙りこんだ。
ほら・・・やっぱり・・・。
私っていつもこう・・・
「・・・嘘っ、だ・・・ょ」
小さな声で桜井君が言う。
「え・・・」
私は小さな期待をむねにゆっくり顔をあげる。
「上手いから存在知った。けど、教えてもらいたいって以上に、ただ俺に気付いてほしかった・・・」
意味が分からずキョトンとしていると、桜井君が口を開く。
「だから、強引にでも俺のこと、ちゃんとわかってもらえるように、うざいくらいメールして・・・でも、少し不安だった。嫌われたら、どうしよう、って・・・」
「・・・好きだよ」
そう言って微笑む桜井君はいつもより優しくて・・・。
私はびっくりして目を丸くする。
「嘘だぁ・・・」
こんなこと言って、「冗談だよー」っていつもみたいな
私の嫌いだけど大好きになっちゃった口調で、私をまたからかうんでしょ?
からかって、私をがっかりさせて・・・
そんなこと思っていると、桜井君が私のベッドの横へと近付く。
そして、桜井君を見つめる私の唇に・・・「ちゅっ・・・」って・・・。
そっと離れて桜井君は「本気」と言った。