愛した名前


けいは言い残した後、さっさと中へと入ってしまった。


まだ心臓の音が聞こえる。


「さきちゃん!嘘つき~」


私が黙っていると、みとりちゃんがニヤニヤしながら言ってきた。


「・・・え?」


なんだか分からず首をかしげる私。


「今の人!好きなんでしょ?」


「あ・・・えっ?」


「も~、とぼけないでいいよぉ!」


「や、だから分からないって・・・」


「うんうん、そっか~。私はいいと思うよ!」


勝手に言いたい放題のみとりちゃん。


私は少し焦る。


「いやあっ、あのねぇ、」


「あ!なんか他の中学の人来ちゃった!そろそろ帰るね!ばいば~い!!」


「あー!ちょっと・・・」


早口で言って去ってしまった。


「え~・・・」


しょうがないなあ。


また今度、本当の事言わなくちゃ。


どっちかわからないって・・・。


「あ!」


辺りを見回すと、ぞろぞろと他中の人。


集合時間は7時30分。

今・・・8時~?!


私はびっくり。


こんなに話してたんだ!


私は急いで学校の中へと入った。


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