愛した名前
出た瞬間目の前に人影。
「あれ、さきちゃん?」
あきらが私の下を向いている顔をのぞきこむ。
よかった・・・
涙は、出てない。
「・・・お~!あきら元気だったー?」
わざと明るく振る舞う。
・・・私、あきらの前でこんなだったっけ?
普通の私ってどんな私?
笑顔だった顔がどんどん崩れていく気がした。
けど、あきらは普通の顔。
気付いてないっぽい。
「試合?」
私はあきらに問いかける。
あきらは笑顔で「そうだよ~」と言った。
「・・・あのさ、俺らってつきあっ」
「あー!らららぁ?」
あきらが言いかけた時、たくとが遠くから私たちに向かって叫ぶ。