あたしの王子様
ドアの方へ行こうとした時、先輩
に腕をつかまれた。
「…どうしたんですか?」 びっくりしたけど、冷静に聞いた。
「…俺、本気なんだ…」
「…すいません。あたし…!!」
先輩はあたしを抱き寄せた。
「や、やめて下さい…!!」 思いっきり押したら、先輩から解放された。
あたしは、反射的に後退り。
でも、途中で壁に当たった。
先輩はどんどんあたしに近づいて
来る。
もう逃げられない…
あたしはペタンと床に座った。
そのあたしの前に松田先輩はしゃがんで、
「俺のモノになって…?」 「いやッ…!!」
あたしは両手をつかまれて、動け
ない。
それと同時に涙が出てきた。
「…泣かないで…?」
そう言って、先輩はあたしに顔を
近づけてくる。
いや…
誰か…助けて…
目をギュッと閉じてそう願った。