ネット彼氏
『ぎ、ギリギリセーフ……』
「おはよ、都」
『ゆんちゃん、おはよう』
今話しかけてくれたのは、私の唯一の友達、松田 由美。
あだ名は、【ゆんちゃん】。
なんで、ゆんちゃんなのかはわからない。
ゆんちゃんのお母さんが呼んでたから、私もそう呼ぶようになってた。
ゆんちゃんは、すごく優しくて何でも出来る頼りになる女の子。
だから、暗い私にも明るく声をかけてくれるの。
「あ、そういえば…」
『?』
「近くの男子校に、イケメンの不良がはいったんだってさ!」
『へぇ…。
でも、私には縁がない話しだね』
「そう?
都、可愛いからその不良君に告ってみたら?」
『私が可愛いなら、ゆんちゃんはもっと可愛いよ』
「なにそれ?!
アレみたい!」
『アレって何??』
ゆんちゃんは、よく【アレ】って言葉を使う。
「ほら、アレだよアレー。
【わぁ!あの星綺麗!】って言った彼女に、
【君の方が綺麗だよ】って言ってる彼氏みたい!」
ゆんちゃんは、一人で二役演じながら言った。
『え、じゃあ………私…男?』
「ソコか!
キミのツッコミたいトコはソコなのか!」
ゆんちゃんは、テンションが高い。
『あはは…。ごめん』
「もー!
謝んなくていいの!
都、もっと笑いなよ!
都は、笑ってるのが可愛いの!」
『あはは。
ゆんちゃんが、彼氏みたいなこと言ってるよ』
「マジでか!
あたし、いつのまに…」
ゆんちゃんと居ると、楽しい。
なんだか、私まで笑えてきちゃうんだ。