キャラメル スウィート



「…は?」


話聞いてなかった。

柚姫に目で知らせる。

アイコンタクトが通じて、柚姫が喋り出す。


「昨日のドラマの話♪
 ほら、火9の…」

「興味ない」

「まじ!?面白ぇのに…」


確か青春系の友情ドラマ。

そんなの興味ないし、どーでもいい。


「亜香梨はドロドロしたのとか推理もののほうが好きだもんね〜?」

「何か文句ある?」

「いえ別に〜♪」


飲み終わった紙パックを潰す。

奥が深くて好きなんだよ。

展開読めなくて楽しいし。

恋愛ものはどーせヒロインがヒーローとくっつくじゃんか。

そんなの予想しやすくてつまんないよ。


「あ、亜香梨!
 ゴミ捨ててくる!」

「…うん」


恭一が走って屋上を出ていく。

その後ろ姿を、見えなくなっても眺め続けた。


「もう、亜香梨もうちょっと素直になんなよ!
 せめてありがとうとか!」

「はぁ…それが出来れば苦労しないし」



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