キャラメル スウィート
「可哀想に…」
「なめんなァッ!」
「…あ」
やばい、後ろ忘れてた。
当たる…。
ゆっくり振り返る。
顔に傷ついてもいっか。
どうせうるさいのはお母さんとお父さんと柚姫くらいだし。
あ、あと店長と桐生さんくらい?
―バキィッ
「…へ?」
あたしの前に立つ、金髪の男。
その男があたしを殴ろうとしたヤツを殴った。
「ハッ…女、殴ろうとしてんじゃねぇよ」
そう言ってあたしに振り返る。
周りを見回せば、他の男たちは倒れていた。
うわぁ…柚姫が好きそうな顔。
《←イケメンってこと》
「――ッ!!!!」
固まるその男を無視して、腕の中の犬を見る。
ケガはしてるけど軽いみたい。
良かった…。
ふっと笑う。
「この子、助けてくれてありがとう」
よく見ると口元から血が出てきていた。
ポケットから絆創膏を出して渡す。
「口切れてるからこれ貼れば。じゃね」