キャラメル スウィート
変色したかき氷を柚姫に渡して、奥に消える。
とりあえず端で待ってることにした。
このチャンスは逃せないし。
かき氷をザクザクしながら、にんまり笑う柚姫。
「やったねー、亜香梨!
これで恭一くんも一緒じゃんっ」
「…うん」
いちご味のかき氷
もう昔のことなのに…今でも思い出すんだ。
去年の今日、あたしは…幸せだった。
いちご味のかき氷を食べて…笑ってたんだ。
「すんっ…はぁ、」
出てきた涙を押さえる。
泣いちゃだめ…そんなことしたら、周りが付け上がるだけだから。
ふと、ある方向を見た。
まるで、あのときのように――…
ニセモノの笑顔で笑ってる、アイツがいた。
「――ッ」
柚姫はまだ、気付いてない。
落ち着かなきゃ…!
「あっかりー!お待たせ!」
「あたしはスルーですかー」
恭一の声をきっかけに目を反らした。
一瞬…目が合った気がしたのは、気のせいだ。