キャラメル スウィート



自然と足が向かった場所。

情けない…あたしはあの頃と全然変わってない。

いつまでたってもあたしは臆病なまま…。

―ドン…パーン…

打ち上がる音がして、大輪の花が夜空に咲いた。

しゃがんだまま、その花を見つめる。

もう…1年、経った。

1年しか…経ってないんだ。


「あかり…っ」

「…何で?」


こうゆうのは、ヒーローが見つけるってのがセオリーで。

きっと恭一が見つけてくれるって思ってた。

そんな期待を…してたんだ。


「…さくや」


思わず、名前を呼んだ。

もう2度と、呼ぶことはないと思ってた。

市橋 朔也(イチハシ サクヤ)

あたしが…世界で1番、キライな奴。


「いるとしたら…ここだと、思ったんだ」


俯くと、一面に咲く花が視界に入った。

ピンクのリコリスがふわりと揺れる。

リコリスの花言葉は、快楽・誓い・追想・深い思いやり…そして、悲しい思い出。



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