キャラメル スウィート
悲しい?…悲しくなんかない。
ただ…虚しかっただけ。
「ごめん…あのとき、俺らバカで…。
お前のこと、傷付けた」
耳を塞いで、目も瞑った。
聞きたくない…っ。
声を聞くと、自然にあの頃の記憶が蘇ってくる。
『で?どうなのよ?』
『ああ、まあ楽勝?ははっ』
偶然聞いてしまった会話。
やっと信じれると、思ってたのに。
あたしをまた地獄に堕としたコトバ。
『1週間もしないでヤれっから、1万ずつ用意しとけよ』
「近付かないで!!!!
そんなこと信じない!!!!」
あのとき信じたから、付け入られた。
男なんて信じない、人なんて信じない。
あのときあたしを信じてくれた柚姫しか、信じない。
信じて…傷付くのは、もうイヤなの。
「あかり、信じてくれよ…っ」
真っ直ぐな朔也の瞳。
あたしに告白してきたときと同じ瞳。