夢と現実
だめだった。


子供とその父は家に帰るのか、どこかに行ってしまった。


男は、あの子の父親を殺すことができなかった。

できるはずもなかったのだ。


最初からわかりきっていたことだった。



俺にはそんな度胸もない。
現実は正直だ。



「…いい天気…」


あの子が見上げて

『お月様好きなんだ』

といった、青い空だけは夢ではなかった。


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