君と生きる【実話】
過去
長い沈黙が続いた後、光星がゆっくりと口を開いた
「‥俺の過去を聞いても、嫌いにならない?」
まだ薄すらと涙が浮かぶ目で、瑠奈に問い掛ける
「ならないよ」
少し微笑んで頷いた
どんな過去を聞いても、嫌いになんかならない
好きも嫌いも
興味がない人に抱く感情じゃないから‥
―‥
「俺、子供がいる」
静かに、光星は呟いた
「そっか」
‥なんとなく気付いていた
最初家を見た時は、同棲でもしてたのかと思った
でも
ベランダに置かれた小さな椅子
食器棚に置かれた哺乳瓶
それ等の痕跡は、ここに家庭があったことを物語っていた
けど正直、瑠奈には関係のない話だ
結婚するわけでもない瑠奈に、その過去が関わるわけでもない
「もう離婚してるけど、子供二人いるんだ」
「そっか。子供は奥さんとこ?」
「‥」
何気なく聞いた質問に、光星は俯いた
「‥子供は二人とも、元嫁‥」
「へ〜‥」
「‥達んとこにいる」
‥
‥達?
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