君と生きる【実話】
「お互い浮気して離婚。今はもうあっちは再婚してる」
「二人目は?」
もう聞く必要もなかったけど、聞いてしまった手前で
「‥あぁ」
その問いに、光星は一瞬、悲しげな顔を浮かべた
その表情を見て
愛情や未練
その全てがみえた
「言いたくなきゃいいよ」
別に気を遣ったわけじゃない
必要以上に相手の心に深く入り込みたくないだけ
それは逆にいえば、自分が入り込まれるのを恐れているから
そんなズルさ
「‥へーき。お前には聞いてほしい」
光星はそう言って、優しく瑠奈を抱きしめた
「一人目と結婚してた時に、浮気してたのが二人目の嫁。すぐ好きになってさ。離婚して正式に付き合った。初めて人を本気で愛したんだと思う」
普通の恋人なら、他の人を愛した過去に嫉妬などをするだろう
瑠奈は、ただ頷いた
初めて愛した人
迷いなく
智也の顔が浮かんだ
「でさ、しばらくして子供できて。産まれてからうまくいかなくなって。子供も女も愛してたから、がんばってみたけど駄目で。俺、女に逃げちって」
後悔してる
そんな思いが痛いほどわかる
あの時こうしてたら
こうしてれば
そんな"たられば"を繰り返しても、もう戻れない‥
「それがバレて即離婚。でもきっとそいつにしてみたら、それ以外にも色々積み重なったものがあったんだと思う」
光星は全てを話し終わると、身体を離して瑠奈の頭を軽く撫でた
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