君と生きる【実話】
「子供は?」
「会ってない。あっちにも今は新しい男がいるから。養育費とかだけは、ちゃんと払ってるけどな」
「そっか‥」
お互い無言のまま、天井を見上げてた
愛してる人を手放した
馬鹿な二人
そんな二人だから
お互いを求めたんだろう
―‥
「‥まだ好きなのか?」
光星は静かに口を開いた
誰を、なんて
聞かなくてもわかる
「好きだよ。それは変わらない」
ためらうことなく言い切る瑠奈に、少し寂しげな笑顔を浮かべた
「ごめんな。メモリ‥」
「大丈夫。覚えてるから」
メモリが消えてしまったのなんてどうでもいい
大切な人は覚えてるし
必要であれば、相手から連絡がくるだろう
光星はそれ以上、何も言わなかった
ただ一言、俺が忘れさせる、そう言って‥
無理だよ、なんて言う必要はなかった
光星自身が
忘れられてないから
それでいい
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