君と生きる【実話】
「よかった‥とりあえず、中入れよ」
「‥うん」
久しぶりに入った部屋は、綺麗なままだった
「お前がいつ帰ってきてもいいように、掃除してたんだよ」
光星は照れくさそうに、そう呟いた
でもすぐに、真剣な表情に変わる
「‥でてくとか言うなよ」
そして、瑠奈を強く抱き締めた
「‥変わりなら、他を探せばいいじゃん」
瑠奈は冷たく言い放ち、光星の腕から抜けた
「なんでだよっ!あいつのとこにいくのか!?」
光星のいう、あいつとは、智也のこと‥
「‥違うよ」
「嘘つくなよっ!そいつんとこにいくんだろ!?」
瑠奈の腕を掴み、声を荒げる光星
その時、瑠奈の中で何かがはじけた
「‥会えるなら‥会えるなら連れてきてよっ!智也に会わせてよっ!!」
「‥るな‥?」
光星が驚くのも無理はない
瑠奈は、泣いていた
「‥智也‥智也は、死んじゃったの」
それを聞いた光星は、言葉を失っていた
「‥もう、瑠奈には何もないんだよ‥ほんとに一人ぼっちになっちゃった」
誰にも言うことのできなかった気持ち
孤独‥恐怖‥不安‥
気付けば全てを吐き出していた
きっと、瑠奈は助けてほしかった
智也のように
暗闇から、救い出してくれる人を待っていた
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