君と生きる【実話】


「よかった‥とりあえず、中入れよ」


「‥うん」


久しぶりに入った部屋は、綺麗なままだった


「お前がいつ帰ってきてもいいように、掃除してたんだよ」


光星は照れくさそうに、そう呟いた


でもすぐに、真剣な表情に変わる


「‥でてくとか言うなよ」


そして、瑠奈を強く抱き締めた



「‥変わりなら、他を探せばいいじゃん」


瑠奈は冷たく言い放ち、光星の腕から抜けた



「なんでだよっ!あいつのとこにいくのか!?」


光星のいう、あいつとは、智也のこと‥



「‥違うよ」


「嘘つくなよっ!そいつんとこにいくんだろ!?」


瑠奈の腕を掴み、声を荒げる光星



その時、瑠奈の中で何かがはじけた




「‥会えるなら‥会えるなら連れてきてよっ!智也に会わせてよっ!!」



「‥るな‥?」



光星が驚くのも無理はない




瑠奈は、泣いていた





「‥智也‥智也は、死んじゃったの」



それを聞いた光星は、言葉を失っていた



「‥もう、瑠奈には何もないんだよ‥ほんとに一人ぼっちになっちゃった」



誰にも言うことのできなかった気持ち




孤独‥恐怖‥不安‥




気付けば全てを吐き出していた





きっと、瑠奈は助けてほしかった





智也のように



暗闇から、救い出してくれる人を待っていた





.

< 44 / 71 >

この作品をシェア

pagetop