君と生きる【実話】


「で、どうする気なの?」


「男がきたら、お前車に乗れ。そのあとすぐに、俺等が乗るから」


つまり、男の車をのっとって拉致する気らしい



「‥男に何すんの?」


「相手の出方次第。暴力とかパクられる真似はしねーから」


その言葉に少し安心した


でも、男も素直に謝るような人じゃない



何より、光星は頭がいい


手を出さないにしても、法律ギリギリのとこまでやるだろう



「‥友達連れてくるなんて、やり方が卑怯だね」


「逃げられないためにな。車から飛び降りられたらシャレになんねーから」


怒りを瑠奈に向けるための皮肉も、光星には効き目がない



男の車に乗ったら、事情を話して逃げようか‥


そんなことを考えていた



「俺達が乗る前に逃げたりしちゃ駄目だよ」


光星がトイレに行った隙に、友達が瑠奈に耳打ちする


「もし瑠奈ちゃんが男をかばったりしたら、光星は本当に男に何するかわかんないから‥」


その言葉には、妙な説得力があった


「さっきも、いつ光星がキレるか冷や冷やしたよ。でも、あそこまで惚れこんでんなら、瑠奈ちゃんには何もしないから。今日は我慢してやって」


もしかしたら光星は、自分を制御してもらうために、友達を連れてきたのかもしれない


大人しく光星に従うのが一番いい、そう判断した



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