君と生きる【実話】
瑠奈の答えに、しばしの沈黙が流れた
そして、気が付けば、雅也の腕の中にいた
「‥まさや‥?」
「‥俺じゃ、ダメか?」
「え‥?」
一瞬、時が止まった気がした
「智也の変わりになんてなれねぇけど‥瑠奈になら、利用されてもかまわねぇよ」
瑠奈を抱きしめる雅也の腕に、力がこもる
「俺は今でも‥お前が好きだ」
‥瑠奈は、あの日を思い出していた
叶わないと知っていながら、瑠奈への気持ちを、全力でぶつけてきた雅也
‥雅也はまだ、瑠奈のことを想ってくれていた
ずっとずっと、小さい時から瑠奈を守り、支えてきてくれた雅也
ずっとずっと、こんな瑠奈を想い続けてくれていた
「‥雅也を利用するなんて‥できるわけないじゃん‥」
雅也の想いに、涙が溢れる
「なんでだよ‥」
そんなの決まってるじゃない‥
「‥雅也のことが、家族みたいに大好きだから‥雅也を失いたくないの‥」
雅也の大きな背中をギュッ抱き締めた
瑠奈はズルい
雅也の気持ちに答えられないのに、失いたくないなんて‥
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