向かい合わせの恋
「相変わらず寝起き悪すぎ、いいからさっさと準備。あたしまで遅刻しちゃう。」
直兄はあたしの幼なじみで5つ上の22歳。
会社勤めでもうバリバリの社会人。
そんな直兄には毎朝会社に行く前、あたしを学校へ送り届けるという義務があるのだ。
ってあたしが起こしてあげることと交換条件なんだけど。
「お前は何でそんなに朝から元気なんだよ。」
かけてあるスーツをあたしから受け取りながら直兄は言った。
「あたしはとっくに目覚めてるの。それに直兄と違って朝には強いしね。」
というかあたしからすれば直兄は特に例外で、朝の弱さは尋常じゃない。
いきなり寝ぼけて怒りだしたりした時はもう大変。
そう考えたら今日は珍しく良かった方だったかもしれない。