向かい合わせの恋
「直兄、今日はすぐ帰る?」
車がいつもの住宅街を抜ける。
「あ?何で?」
「別に、聞いただけ…。」
最近、直兄の心にあたしの入る隙間なんてないんじゃないかって思う。
余計な干渉をしちゃいけない。
自分でもわかってる。
けど…
「変な奴。今日は残業あるから遅くなるぞ。」
そう言って左手であたしの頭を優しく撫でる。
ほら、そうやって優しくするから…あたしはまた…
「ん、着いたぞ。しっかりお勉強して来いよ。女子高生。」
「…ありがとう。じゃあね!」
それと同時にあたしを子供扱いする。
直兄は残酷すぎるよ…。