―雪女郎― 凪雛
「寿・・・アンタ。」







「さて、織閖のさっきの質問に答えてなかったね。」








呉葉の声を遮って、凪雛が話を切り出した。







「二月。わっちらはここを去ることになるだろうよ。」








雪洞が初めて顔を上げた。







「噂は、事実だ。」







凪雛は煙管を取り出した。







「そ、そんな・・・」







織閖は、氷雨に向かって哀願した。







「ひ、氷雨姐さん、どこも行かないでおくんなし。」








「十年の約束を尚過ぎてもここにいらした姐さんには、ずっとわっちの姐さんでいてもらいたい。」
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