―雪女郎― 凪雛
お凪が、叫んだ。








「ここでは、10年経たねぇと出れない。その間に、死んじまうのがほとんどさ。」









「風華、言いすぎでありんす。」







天秤が怒ったように言った。







「こんくらい知っとかなきゃならねぇのさ。」








「それでも・・・お前たちはここでやっていく覚悟ができているのか?」








静かになった。







「あたい達は売られた。そこで根ぇ張って生きてなんぼだろ?」








お船の言葉に、お夕が多きく頷いた。








「覚悟は・・・できている。」








お凪が、静かに言った。
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