―雪女郎― 凪雛
「雪洞ちゃん。」





外を睨む雪洞に、横から柔らかい声がかかった。






「織閖ちゃん。」






織閖 オリユリ。






雪洞と同時期に座敷持ちへと昇格した、歳一つ上の遊女。






愛らしい容姿に加え、知的であることから、若い年代の客のなじみが多い。








「雪洞ちゃん、成長したね。花魁になるのもそう遠くないと・・・」







織閖の言葉に、ニヤける雪洞だったが、すぐに上がった歓声で表情が凍り付いた。






「ちっ・・・」







二人で顔を上げると、三人の遊女が中央の三席に座るところだった。








外の男どもが、騒ぎ出す。






「はぁ・・・相変わらずだね、姐さん達は。」
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