―雪女郎― 凪雛
「お雛とこの葉と氷柱を呼んできておくんなし。」








風華は近くにいた新造に、ぶっきらぼうに言った。








「風華、少し落ち着きんさい。母さんは今出払っている。言いたいことは全部わっちが聞いてやるよ。」








そう言って、風華に座布団をすすめ自分も座った。








風華は、鼻息荒くも座りあぐらをかいた。








「なんでお雛が?」








「この前の花魁道中だ。お雛の奴、先秦倶のとびきりの常連客に酒を思いっきりぶっかけちまってね。」








「それだけでか?」








「なんでもその客が、女将の間夫でな。あそこは、気が短いので有名だ。」









天秤は困ったように俯いた。
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