―雪女郎― 凪雛
お雛と女将の間に、風華がはだかった。








「何をするんだ、風華。」








「お雛はどこにも行きんせん。」








「しかし・・・」








「お雛はどこにも行きんせん。」








そう繰り返す風華をじっと見ていた天秤は、目を見開いた。








「風華・・・まさかおまえ。」









「察しの良い親友でありがたい。お雛は出ていかない。」









「しかし・・・この風華が美楼閣から出ていきんしょう。」










不敵な微笑みで、言い切った。
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