―雪女郎― 凪雛
「二つ目に・・・・・・」








愛おしそうに赤ん坊を見つめた。








「わっちにもしものことがあったら・・・美楼閣でこの子を買い取って欲しいの。」









「お雪という名なの。」








天秤は、静かに言った。








「吉原という過酷な地獄で生きさせるつもりか?」









「それか・・・自分が死んだ後。お雪への、旦那からの・・・」








「そんなことはないでありんす。」








「そんなことは・・・」








風華は呟いた。
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