―雪女郎― 凪雛
「ずっとずっと・・・風華姐さんが、凪雛のためにしたこと、分からなかったわ。」









「大切な、姐さんを失う悲しみを・・・」









呉葉は、夜空を見上げた。








「でもね、貴方が来て分かった。何よりも・・・守らないといけないものがあるということ。」









「これで・・・心おきなく大門をくぐれるわ。」








「ありがとう、雪洞。貴方の未来に・・・幸を。」








呉葉は、去っていった。









「呉葉姐さん・・・」









雪洞は、最後に話したときの呉葉が、本当に遠くへ行ってしまったことを悟った。









最後の最後に、彼女は廓言葉を使わなかった。








遊女の証であり、遊女しか話せない、廓言葉を・・・
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