Lovers STATION
2
「苦しいか?」
まるで捨てられた猫でも見ているみたいに
不安そうな表情で哲平は尋ねた。
私が首を振ると、苦い顔で微笑む。
「もう少しの我慢だからな、頑張れよ」
うん。
声にならない声で返すと、
彼は私の右手をそっと握った。
救急車のサイレンが近づいてくる。
霞む視界の先では哲平が、ひどくうろたえている。
無理に平静を装っているが、
彼の動揺ぶりは右手を介して伝わっていた。
「ごめんなさい」
「謝るのは後でいい。今は喋るな」
……うん。
私は堪えられなかったのだ。
十五歳だった私には、
それを受け止めるだけの『器』がまだなかった。
季節は春だった。
まるで捨てられた猫でも見ているみたいに
不安そうな表情で哲平は尋ねた。
私が首を振ると、苦い顔で微笑む。
「もう少しの我慢だからな、頑張れよ」
うん。
声にならない声で返すと、
彼は私の右手をそっと握った。
救急車のサイレンが近づいてくる。
霞む視界の先では哲平が、ひどくうろたえている。
無理に平静を装っているが、
彼の動揺ぶりは右手を介して伝わっていた。
「ごめんなさい」
「謝るのは後でいい。今は喋るな」
……うん。
私は堪えられなかったのだ。
十五歳だった私には、
それを受け止めるだけの『器』がまだなかった。
季節は春だった。