先生
言葉の価値

ガチャ……


ドアを開けた瞬間
独特の薬品の匂いが
鼻をかすめる。

私はこの匂いが
今となっては大好きだ。


準備室に足を踏み入れると

「きゃっ…」



いきなり先生に
抱き寄せられた。


先生の匂いがするなぁ…
タバコの匂いと
薬品の匂いと
混じった匂い。

この瞬間が一番
安心する……

私は先生の背中に
腕をまわして
ぎゅっとしがみついた。


「なぁ、優月…?」

< 58 / 168 >

この作品をシェア

pagetop