先生
言葉の価値
ガチャ……
ドアを開けた瞬間
独特の薬品の匂いが
鼻をかすめる。
私はこの匂いが
今となっては大好きだ。
準備室に足を踏み入れると
「きゃっ…」
いきなり先生に
抱き寄せられた。
先生の匂いがするなぁ…
タバコの匂いと
薬品の匂いと
混じった匂い。
この瞬間が一番
安心する……
私は先生の背中に
腕をまわして
ぎゅっとしがみついた。
「なぁ、優月…?」