先生

学級委員になって
1ヶ月以上経った……
仕事内容は思ったより楽で、
号令をかけたり
先生の手伝いをしたり
学級会の時に司会をする
などの簡単なものだった。


私が学級委員になると
先生に言ったとき
先生がすごく
喜んでいたことを
今でも覚えている。

「ありがとうな〜優月!!」


そう言って私の頭を
撫でてくれた。

私も
先生が喜んでくれたのが
嬉しくて、
笑顔で答えたんだ……


だけど最近、
先生の元気が
ないように見える。



「最近、矢田先生元気ないよね?」


授業中、私は
近くの席の女の子と
話をしていた。


「優月知ってる?
他の先生に
聞いたんだけどね、
矢田先生いろいろと
職員室とかで
悩んでいるらしいよ。
クラスのこととか考えて…」


全然知らなかった。
この事を聞いたとき
軽くショックを受けた……


「そうだったんだ…
あっ、
私学級委員だし
先生と話してみるよ!!
私に出来る事が
あるかもしれないし!!」


私はそう言うと
前を向きなおして
授業を進めている
先生をじっと見つめた。

いつも通りの
先生に見える。



見える……?



先生の笑顔を見るたびに
胸が痛んだのは
それがきっと
作り笑いだと、
気付いてしまったからかな…?
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