水色なお姫様



ポーンポーン

軽快に響くサッカーボールの音。

1人の男の子が軽々とリフティングをしていた。


つばのある帽子をかぶり、一生懸命ボールを追いかけていた。


あたしは引き付けられるようにして見入ってしまった。


じっと見ていると、こっちに気づいたのかボールをひょいと持ち上げて、駆け寄ってきた。



「あ、あんた!!」

「へっ?」


いきなり何なんだこの人・・


「もしかして、この間コンサートでケータイ落としたひと?」

「う、うん。何で知ってるの?」

「だって、俺が拾ってやったんだもん。へへへ。」

へへへって・・・

あっ、そうだ。その時もつばのある帽子をかぶっていたっけ。
あたしはやっとのことで、記憶を掘り出すことができた。



「その節はどうも・・・」

あたしはペコリとお辞儀をした。
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