ときどき阿修羅!!
ああもう、頭ん中がわけわからん。
まず、どうして、あのタマキさんと、このタマキさんが同一人物なのか。
いっそこと、別人格だったらある意味楽なのになあ。しっかり記憶は共有してるし、変な性癖(?)も共有してるし……。
優しい(でも、ちょっと……いやかなり変な)今のがタマキさんで、こわーいタマキさんはタマキさんじゃなくて『阿修羅』さんだったらいいのに。
そうしたら、私が好きなのは、タマキさん!! って胸を張って言えるんだけど。
「唯……? どうしたの、まだ痛い……?」
と私の顔を覗き込んで、瞳を潤ませるタマキさんは、頭の上に輪っかが無いのが不思議なくらい、もはや天使。
私の顔は、カッと熱くなる。
かっこよすぎ、かっこよすぎ、かわいすぎ!!
その手に持っている包帯はとりあえず置いてほしい、という言葉も喉の奥に押し込んでしまうほど。
そして、どうしてまた巻き始めるんですか、という言葉がどこかへすっ飛んでしまうほど……って。
「リ、リセさーん!! 大事に至る前にお助けを!!」
目をきらきらと輝かせて、ぐるぐるやっているお方に何を言っても無駄と判断した私は、救世主に助けを請う。たぶん、今の私の声も、ぐるぐるに心を奪われている愛しいお方の耳には届いてないと断言できる。
「くぉら!! タマキ、お前はニワトリか、それ以下か!!
芸術は人に迷惑をかけないようにやりなさい!!」
リセさんはタマキさんの頭をぺしんと叩き、タマキさんは頬を膨らませてプリティー度を上げてみせた。