ときどき阿修羅!!

「唯ちゃん……?」

 リセさんの心配に満ちた声が、脳内トリップしていた私を現実の世界に引き戻した。

「大丈夫です!! 
私、3人兄妹の真ん中で、かなりほっぽられて育ってきてるんで!
ちょっとやそっとのことじゃへこたれません!」

「……いや、親御さんの了承のことを聞いてるんだけど」

「親なんか関係ないです!
(極妻修行だなんて)言ったって、反対されるのがオチです」

「え、ええと……」

 リセさんは、チラリと私を目を合わせ、にこ、と目を細めた。
 口元がヒクついているように見えるのは、きっと目の錯覚に違いない。

「それに、うちの親の口癖が『早く可愛い孫がほしいわ』なんで、問題ありません」

「え? 今、それ関係ある……かなあ?」

 腑に落ちない顔のリセさんを手のひらで、ビシっと制して「任せてください」と胸を叩いた。

「どこに出ても恥ずかしくない(極道の)女になりますから!」

 上の上の君の為なら、たとえ火の中水の中!!

「そ、そうならいいんだけど……」

「心配は無用ですよ、リセさん」

「……俺の名前は『りっせい』なんだけどな」
< 11 / 101 >

この作品をシェア

pagetop