ときどき阿修羅!!
「唯ちゃん……?」
リセさんの心配に満ちた声が、脳内トリップしていた私を現実の世界に引き戻した。
「大丈夫です!!
私、3人兄妹の真ん中で、かなりほっぽられて育ってきてるんで!
ちょっとやそっとのことじゃへこたれません!」
「……いや、親御さんの了承のことを聞いてるんだけど」
「親なんか関係ないです!
(極妻修行だなんて)言ったって、反対されるのがオチです」
「え、ええと……」
リセさんは、チラリと私を目を合わせ、にこ、と目を細めた。
口元がヒクついているように見えるのは、きっと目の錯覚に違いない。
「それに、うちの親の口癖が『早く可愛い孫がほしいわ』なんで、問題ありません」
「え? 今、それ関係ある……かなあ?」
腑に落ちない顔のリセさんを手のひらで、ビシっと制して「任せてください」と胸を叩いた。
「どこに出ても恥ずかしくない(極道の)女になりますから!」
上の上の君の為なら、たとえ火の中水の中!!
「そ、そうならいいんだけど……」
「心配は無用ですよ、リセさん」
「……俺の名前は『りっせい』なんだけどな」