ときどき阿修羅!!

 ワゴンは一路峠道。
 道路は、山の中腹から舗装もされていないデコボコ道に変わった。

 見渡す限り、木、木、木。
 時々イタチ。
 いやあ、私、イタチって初めて見た。思った以上だよ、あの長さ。

 前後左右まんべんなく揺れながら、シートベルトの有難みを実感していると、

「車酔い、平気?」

 と隣から優しい言葉がかかる。

 心配そうに眉をひそめ、私の顔を覗くリセさん。

「ピンピンです!
私、カタツムリ管には自信があるんです」

 よかった、と安堵の笑みをみせるリセさんに「お兄ちゃん」って無償に叫びたくなる。
 私にお姉ちゃんしかいないからって理由だけじゃないと思う。

 すごく雰囲気が柔らかいんだ。

 困ってるときに、さりげなく手を差し伸べてくれるのは、リセさんみたいな人なんじゃないかなって思う。
 おせっかいじゃなくて、あくまでもさりげなく。

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