ときどき阿修羅!!
「リセさんって結婚してないんですか?」

「結婚? してないよ」

「えー。もったいない。
リセさんのお嫁さんになりたいって人、たくさんいるんじゃないかあ」

「なにそれ、誘ってる?」

「全然!」

「あはは。随分はっきり言うねえ。
結婚かあ、今はそれどころじゃないからなあ」

「リセさん、気をつけたほうがいいですよ。
それ、モテない男の常套句」

「いいの。俺、実際モテないから」

「またまたあ」

 リセさんは、ハンドルを大きくきって、それから停車した。

 フロントガラスには、趣のある平屋が2軒。

「唯ちゃん、着いたよ」

 あそこに上の上の君が……!!

 胸の高鳴りを感じながら、シートベルトの赤いスイッチを押した。

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