ときどき阿修羅!!
「そういえば、あれ? ユキは?」

 タマキさんは、縁側に座りなおしながら辺りを見回す。

「最初っからいないから」と肩を落とすリセさん。

「あ、そうなの?
ユキが来るような感じがしたんだけどなあ」

 ユキ……。
 一体何者?

「タマキがそう感じるんだったら、じきに来るんじゃないの」

「そっか。で、律ちゃんは、何しに来たの?」

「は!! タマキのペースに乗せられて忘れてた。
この子――」

 リセさんは、私の背中を添えて優しくタマキさんの前に押し出した。

「あ、どうも。久しぶり。ええと……」と、極上の君。

 は?
 久しぶり……?

 私、会ったことあったっけ?
 どこかで会ったことあったら、この私が忘れるはず無――。

「あれ? タマキ、知り合いだった?」

 というリセさんの声にタマキさんの首が傾ぐ。

「…………」

 すすすっごい見つめられてるんですけど!!
 ありえないぐらいカッコイイんですけど!!

 その上目遣いに、パチパチっとしたまばたきが堪らないんですけどぉぉぉ!!

「律ちゃん、この子、誰?」

 がく。
 私とリセさんが同時に脱力する。

「知らないなら、知らないって初めから言えよ……」

「ぱっと見たときは、知ってるような気がしたんだよね」

 あのねえ、とリセさんは溜め息を漏らした。
< 18 / 101 >

この作品をシェア

pagetop