ときどき阿修羅!!
「この子、唯ちゃん。タマキの弟子になりたいんだって」

 リセさんの紹介を受けて、私は90度に腰を折った。

「始めまして!! 立野唯って言います。
唯は、『あなたの唯一』の唯です!」

「弟子……?
唯ちゃん、弟子になりたいの?」

 唯ちゃん!!
 ちゃん付け!!
 タマキさんにちゃん付けされちゃった!

 ちゃん付けってことは、アレだよね。
 付き合ってくださいの略語だよね!?

「はい!」

 私は、顔を上げながら、肯定の返事をした。

 もちろん、喜んで!!

 はうぅぅぅ。
 困った顔も、ス、テ、キ。

 って、困った顔……?

「唯ちゃん、本気?」

「めちゃめちゃ本気です!」

 極道の妻になる覚悟は、とうに決めました!

「唯ちゃん、ね?
この道って、たぶん唯ちゃんが想像してるより、よっぽど厳しいよ」

 タマキさんは、寝ぼけた顔から一変、険しい表情で私を見上げる。

 この道――極道、ですよね?

「簡単に稼げる世界じゃないんだ」

 タマキさんと私の子供を抱く為なら、頬に縫い痕がある敵のタマ、とっちゃるけんのぉ!

「覚悟はできてます」

「貧乏、我慢できる?」

 貧乏……?

 あれ? 極道の世界って、そんなに景気悪かったの?

「は、はい」

 って……なんかイメージが……。
< 19 / 101 >

この作品をシェア

pagetop