ときどき阿修羅!!
枝垂桃が如く
『――まさに、落花流水ってやつですねえ』
見つめる先、テレビの中で真面目な顔して感想を語るコメンテーター。
ワイドショーでは芸能人同士の熱愛を報道していた。
人って、恋を何かに例えるの、好きだよね。
私だって例えるもん。
でも、私が例えるんだったら、『炎』とか『熱』とか。
恋は、燃え上がらなくっちゃ、ね。
夏休み。
そんなことを考えながらエアコンの冷気を背中に受ける。
テーブルの上のカップアイスは、なかなか減らない。スプーンをその中に差し込んだ。
『――続いて速報です!
おっと、こちらも幸せなお知らせですねえ。現場と中継が繋がっております』
テレビの画面が、スタジオから、んー、ホテルかな? 金屏風と白いクロスがかかった長机。
そこに男女が並んで座ってる。
会見? 誰だろ。フラッシュが凄すぎて良く見えな――
カメラは、徐々に男女を大きくアップにしていく。
「あ!!」
瞬間、私は手に持っていたスプーンを落としてしまった。
カツン。テーブルの上、乾いた音がテレビから漏れ出るシャッター音にかき消された。
『人気ロックバンド「NEVER」のケイさんとナオさんの入籍会見が行われています』
「う、嘘でしょ……」
画面の中、すっきりと澄ました顔で座っている愛しのお方。
ケイ……!!