ときどき阿修羅!!
 タマキさんは、刀を握った右腕を伸ばし、それを立てる。

 その手首の動きに合わせて、むき出しになった刀身が、チラ、チラ、と太陽の光を反射する。

 強烈な閃光の後ろで、タマキさんの片頬が上がった気がした。

 ……笑った?

 もしも今の表情を「笑い」と表現するのなら、これほどまでに狂気めいた微笑みは無いんじゃないか。

 全身が粟立つ。

 禍々しくて、凍てついていて、それなのに、火が消え失せる寸前の木炭のような黒い熱を隠しているようにも見えて。

 ――怖い。

 私の体を駆け巡る感情は、それただひとつだった。

 タマキさんは、おもむろに和紙を左手に乗せ、その上に刃を置く。

 刀を斜めにした状態で、太陽光によって輝くそれを覗き込む。

 私の2,0の視力は、タマキさんの黒目を捕らえた。

 ど、瞳孔が開いてる……!!

 気がつけば、私の奥歯は、小刻みにカチカチと打ち鳴らしていた。

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