ときどき阿修羅!!
「律、簀巻(スマキ)用意しろ」

 タマキさんは、再び刀を愛でる。

 ……さっきまで『律ちゃん』って呼んでたよね?
 刀持つと、呼び方まで変わっちゃうんだ……。

「簀巻って……タマキ、昨日、全部斬っちゃったでしょ」

 これだけタマキさんが豹変してるのに、リセさんは、面倒くさそうに頭を掻くのみ。

 タマキさんの人格が変わるのって、リセさんにとっては日常茶飯事なのかな?

「全部ってよお、テメエが用意したのが……
少なかっただけだろ、クラァ!」

 ヒィ!!

「はあ? つうか、まず、なんで俺が用意しなくちゃいけないんだよ!」

「他にやるやつがいねえから」

「それは、タマキが弟子に容赦ないからだろ!?
だからみんなすぐ逃げちゃうんだよ!」

「ぁあ?」

 タマキさんは、眉間にこれでもかとシワを寄せ、顎を突き出すようにして、リセさんを睨みあげる。

「俺についてこれねえやつは、いらねえんだよ!!」

 ザシ!
 タマキさんは、縁側に刀を思い切り突きたてた。

 ぎゃっ!!

 無意識に両の肩が上がってしまう。

 タマキさんの瞳がゆらりと鈍く光った。
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