ときどき阿修羅!!
「え? どうして?」

 と、キョトンなタマキさん。

「練乳、一番おいしい飲み物なのに」とジョッキを傾けて喉をならすこの人と、さっきの阿修羅を具現化したような人が同一人物とはとても……。

 というか、本当に飲んでるし。しかもゴクゴクと、牛乳でも飲むように。

 な、何からツッコんでいいのかわからない……。

 ごくごくごくごく。

 …………。
 
 ……あれ? 練乳って飲み物だっけ?

「一番云々じゃなく、まず練乳は飲み物じゃないから」

 と心底呆れた顔でリセさん。

 そ、そーですよね!?
 練乳って、かけるものですよね!!

 あ、危ない。
 危うく新しい扉を開けてしまうところだった……。

 入っていた量を3分の1まで一気に減らしたタマキさんは、ジョッキから口を離して私に視線を向けた。

「唯ちゃんも飲む?」

 そう言って微笑む。

 常人からはかけ離れすぎている行動も、全然気にならないくらいのかっこよさ。

「タマキさん、タマキさん、唯ちゃんに変なものを勧めないでいただけますか」

「律ちゃん、何言ってるの?
変なものって……ただの練乳だよ」

「練乳だから、変なものなんだよ!!」

「律ちゃん、自分で何言ってるかわかってる?
練乳が変なものって言う、律ちゃんが変だよ」
 
「おおおおお前に変って言われるなんて、俺、ショックで寝込むぞ!」

「律ちゃんが寝込んだら、困るよ。
部屋の掃除とか、夕飯とか、誰がやるっていうの?」

「お前が自分でやれ!!」

 タ、タマキさんって……。

 ……もしかして、天然?

 というか、ちょっと……残念な、人?
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