ときどき阿修羅!!

「なんだ。ただの弟子か。
てっきりタマキのイイヒトかと思ったわ」

 すっかり綺麗になった居間、ちゃぶ台を囲んで。

 ユキミさん、「ただの」を強調しないでいただけますか?
 私、現実から目を逸らしたいお年頃なんです。

 というか、イイヒトって、うちのお母さんでも言わない語彙なんですけど……ユキミさんって何歳?

「それにしても、弟子ったってなあ。
こんな細腕の子が勤まるのか?
って、お前、それ何飲んでんだ」

 ユキミさんは、たもとに手を突っ込んでタマキさんに視線を送る。

「練乳はちみつスペシャル」

 タマキさん、そのジョッキ、はちみつも入ってんすか……。

「そうかそうか。たくさん飲んで大きくなれよ」

 タマキさんは、「そうする」と若干ズレた返答をして、ジョッキに傾け、ごくごく喉を鳴らす。

「ユキミ!! お前がそういう事いうと、タマキ、まじで糖尿になるからな!!」

「律ちゃんはすぐかりかりするんだから。
練乳飲むと落ち着くよ。カルシウムが豊富――」とタマキさん。

「飲むか!!
カルシウム以前の問題だ!!」

「ユキはどう?」

「タマキは優しいなあ。
だけど父さん、甘ったるいものは、可愛い女の子の声だけで充分なんだよなあ。
気持ちだけ頂いておくよ」

 と、ユキミさんは、柔らかい眼差しをタマキさんに預けて、その頭をなでる。

「だから、ユキミは何キャラなんだよ!!
ただの幼馴染だろ、お前ら!!」

 しかも、その親子設定だと、ユキミさん、可愛い女の子を浮気しているダメ親父設定になっちゃいますけど。
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