ときどき阿修羅!!

「お、3時。
律、ティータイムだ。
二枚目紳士のお客さんにお茶をお出ししなさい」

 ユキミさんは「良く蒸らして」と、たもとから小さな缶を取り出した。

「あのね、俺も一応お客さんなんだけど」

「なーに言ってんだよ。
律は、甲斐甲斐しくタマキの世話を焼く保護者みたいなもんだろ?」

「だから、ユキミは、そういう混乱を招くことをさらっと言うな。
ただの幼馴染だから」

 と、文句を言いつつも、その小さな缶を受け取るリセさん。

「おや? 律君、君、なにゆえ上半身裸?
家が潰れたからって……今更ご乱心?」

 ユキミさんはその細い顎に指をあてて、リセさんをしげしげと見つめる。

 気づくの遅っ!
 わが道を行く人なのかな、この人。

 リセさんは「それ」と私が着ているTシャツを指さした。「ご乱心はタマキ。タマキが唯ちゃんの服斬っちゃってさあ」

「なんと! そうなのか、タマキ!?」

 今度はジョッキに茶色い瓶の液体をコポコポ注ぐタマキさんに、ユキミさんは顔を向けた。

「うん。うずうずしちゃって。
ごめんね。唯」

 タマキさんはジョッキから視線を上げて私の顔を見た。

 天使の微笑み!!
 しかも、呼び捨てえぇぇぇぇ!?

 キャミソール?
 まな板?
 もしくは、洗濯板?
 ナニソレ!!

 ゆるーす!!
 そんな笑顔見せられちゃったら、どんなことでも許しますとも!

 ついでに、リセさんの微胸発言もゆるしちゃいますよ!!
 

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