ときどき阿修羅!!
匂菫が如く

「タマキー、ポットどこやったー?」

 廊下の先からリセさんの声。

「えー?」

 タマキさんは、ジョッキに口をつけたまま、廊下に向かって声を張る。

「ティーポットー。
この前食器棚にしまっといたんだけどー」

 リセさんの声にタマキさんの頭が傾いた。

「ティーポット? 食器棚、食器棚……。
あー、律ちゃーん。
この前、練乳探し回ったときに落っことして割っちゃったあれかなあ?」

 タマキさん、練乳をなんつーところに入れてるんですか?

「はあ? なんで練乳探して食器棚漁るんだよ!!
こんなところにあるわけないだろ!!」

 リセさんの怒声が廊下にこだまする。

 あ、食器棚に保存してたわけではないんですね。

 よかった……のか?

 しかし、なんだろ。

 タマキさんが片付けられない理由の片鱗を見てしまった気がして、なんだか寒気が……。

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