ときどき阿修羅!!
 イケメンも往々にして「隙あらば」な思考回路をお持ちの狼だと学んだ私は、申し訳ないな、という気持ちは、時空の彼方にすっ飛んでしまった。

 衣服を『明るい開放的な』ブティックで遠慮なくあがなってもらった。

 今日の空模様に映える綺麗なブルーのワンピース。

「唯ちゃん、似合う。可愛いよ」

「ありがとうございます」

「背中のファスナーがいいよね。
下ろすときは言って」

 と、笑顔でさらり、戯言を口述しながら、マネークリップで留められた分厚い紙幣の束を袂におさめた。

 茶道の家元って、景気がいいんだぁ。

 あんな札束、初めて見た。

「さて、唯ちゃんの着替えも済んだことだし、今度こそ、ラブ――」

「淫行って、刑罰よりも世間体に響きますよねー」

 ……脅して、しこたま服、買ってもらっちゃおうか。
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