ときどき阿修羅!!

 アンティークショップ、デパートを回り、後ろの窓が見えなくなるほど荷物をつみこみ、発車させた。

「あー、すっきりした。
懐も軽くなったことだし、唯ちゃんの家って南町だったよね?」

「はい。
……デパートの店員さんに荷物運ばせる人、初めて見ました」

「そう? まさかレディーに持たせるわけには行かないし、量が多かったんだから仕方ないじゃない」

「でも、買いすぎじゃ――」

 私の言葉を、ユキミさんは「唯ちゃん」と制した。

 赤信号で停車。

 ユキミさんは、眼鏡越しに私の瞳を真っ直ぐ見つめる。

「唯ちゃん、お金って、使うためにあるんだよ」

 真顔でそういい切るユキミさん。

 いや、そうなんですけど、ね。

「僕、お金使うの好きなんだけど、もう、欲しい物は全部揃っちゃったからさあ」

 信号は青に変わり、車は再び進む。

 ユキミさん、とりあえず、リストラにあったサラリーマンの方々に謝ろうか。

「買い物って、セックスと似てるとこあるじゃない?
衝動買いする女性って、絶対、欲求不満なんだって」

 女の人限定!?
 なんの決め付けですか!?

 あるじゃない? って訊かれても、経験がない私には全くわからないんですけど。

「あー、唯ちゃん、『私、まだ男の人知らないからわからなーい』って顔してるー。
試して――」

「みません!!
始めに言っておきますけど、うちは、黒いゴムのカーテンも、ナンバーを隠す板も、一律4000円の文字もありませんから。あしからず」

「……はい」

 ユキミさんは、すぐにウインカーを出してUターンをきめて、反対車線に乗り入れた。

 私の身も心も、(優しい方の)タマキさんのものなんですから!!
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