ときどき阿修羅!!
 廊下を気持ちのいい風が吹き抜ける。

 こうも山の中だと、アスファルトがないせいなのかな、夕方の風が気持ちいい。

 前を歩くリセさんの髪の毛が風に煽られる。

 襟足で玉になっていた汗の雫が肩甲骨の間に落ちて流れた。

「唯ちゃんに使ってもらう部屋も一応掃除しておいたけど、なんせ時間がなかったから。
もし不備があったらごめんね」

 リセさんは、頭だけを捻って申し訳無さそうに目を細めた。

「いえいえ! なんかすんません。
そこまでしてもらっちゃって……」

 恐縮する私に、リセさんはことさらにっこりと頬を緩ませた。

 ……敵わん!!

 完敗ですわ。

 勝てるとしたら性別のみだこりゃ。

 唯一の救いは、リセさんが男であるということだけですわ。

 おっぱいがあるか、ないかでしか勝負できん。

 いや、私もないに等しいんだけども、そこはほら、まだまだ成長段階って……。

「……ある箪笥は好きに使っていいから。それから、布団なんだけど……って聞いてる?」

「はい。リセさん、揉んだら大きくなりますかね……」

「……は?」
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